過去の傷つき体験と今の自分との関係

 

大きな傷つき体験をした方のお話し。

その方は小さなお子さんがいらっしゃったので、

日々、育児と家事、仕事と忙しく過ごしていました。

 

傷つき体験については、普段は特別考えることもなく、

慌ただしく毎日が過ぎていったと言います。

たまに思い出すことがあっても、

忙しさにまぎれて忘れていくことがでいると思っていたそうです。

 

そんな生活を続けていくうちに

だんだんよく分からない苦しさを感じるようになりました。

 

何に反応するのか自分でもよくわからないけれど、涙が出る。

なんでこんなことで・・と思うようなことでイライラする。

感情の起伏が大きくなって、精神状態が不安定だと自覚がある。

自分が不安定だと子供の様子も違ってくる。などなどです。

 

このままでは良くないと思い、

カウンセリングを受けてみようと思われたそうです。

 

この方と似たような経緯をたどることは

少なくありません。

 

以前、戦争体験をした方達のトラウマについての特集をテレビでみました。

戦後70年たって、今になってその時の傷つき体験がいろいろな症状として

身体に出てきている。という内容でした。

 

戦後は貧しさと必死で戦い、子育てに追われ、日本の復興に貢献し、

失われた多くのことを悲しむこともできすに生きてきたのです。

誰もが同じような体験をしたのだから、辛いのは自分だけではない。

という思いがあった人もいたでしょう。

 

平和な世の中になって子育ても終わり、

自分に時間ができたころからだんだん思い出すことが出てきて、

戦時中の辛い記憶が蘇ってくるのだそうです。

その辛さは癒えるどころか日に日に増し、

薬なしでは眠ることも家事をすることもままならい様子でした。

 

 

戦争の辛さは、私たちのように戦後に生まれた者には

どんなに想像しても想像しきれないものだと思います。

 

なんとか少しでも楽になってもらえればと、

支援をしている方も出ていましたが、

あまりの過酷な体験は70年たっても言葉にするのも辛すぎて

なかなかケアが進まないようでした。

 

 

辛い体験のその時の感情は時間が経っても

自然に消えることはありません。

 

必死に生活していたり、何かに夢中になっていたりしているときは

なんとかなる人もたくさんいます。

でも、それが生涯続くかはわかりません。

苦しくて身動きが取れなくなってしまう日がくるかもしれない。

 

体験から時間が経っていると、

周りの環境がきちんと悲しめない状況を作ってしまうこともあります。

「もう昔のことなんだから、早く忘れなね。」

「いつまでそんなことにこだわっているの?」

「早く元気になってね!」

「またその話?もういい加減忘れなよ」 などなど・・

悲しんだり、閉じ込めた感情を吐き出すことができなくなってしまう。

 

そして、

「みんなの言うとおりだ。がんばらなくちゃ!」

「まだ立ち直れないなんて私は弱い人間だ」

などと自分でまた閉じ込めてしまうことになりかねません。

 

 

こころのケアを進めるためには、

抑圧された感情を外に出すことが大切なことの一つです。

 

今更過去のことなんて・・

そう思われる方もいるかもしれませんが、

今思い出しても苦しくなることは、今のことです。

過去のことではなく、今、苦しいこと。

今の自分に影響を与えていることは間違いないので、

今の自分の気持ちを大事に扱ってあげることが必要になると思います。

 

出来事は過去でも、気持ちはその時から今までずっとあるもの。

 

大きな傷つき体験は時間が解決することはありません。

どんなに時がたっても、大丈夫だと思っていた時期があっても

こころの奥底にずっと残っています。

 

 

話す気になれない時期ももちろんあるでしょう。

それぞれの方にそれぞれのタイミングがあります。

 

いつか、自分の中に押し込めているものを

少しずつ外に出してあげてほしいと願います。

 

自分にとって抱えきれない程の大きな傷を、

何とか抱えられるくらいの大きさになるよう

心を手当てしていけたらと思います。

 

大きな傷とは、

自分にとってのものなので、

人と比べたり、他人の意見は全く関係ありません。

自分が辛く感じることは、その感覚が全てであり、

どう感じても良いことです。

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ABOUTこの記事をかいた人

心理療法カウンセラー 森口瑞恵(もりぐちみずえ) アダルトチルドレン、生きづらさ等から脱出し、人も自分も大切にする方法を身に付けながら、自ら輝き、自分らしく生きる力を発揮するための心理支援をおこなっております。 現在、心身に症状のある方には、身体と心のつながりを大切に考えながら必要なケア方法をお伝えして参ります。